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第七話 封じるか、滅ぼすか

「――そんなやり方じゃ、間に合わねえって言ってんだよ」

焔の声が、珍しく尖っていた。帳内の一室、緊急の招集の後。残ったのは朧と焔、二人だけだった。

「禍の兆し、もう三度目だ。あんたはまだ”封じて待つ”つもりか」
「五封の律は、先人が定めしもの。軽々しく破るわけにはいかぬ」
「その先人とやらは、もう誰もいねえじゃないか」

朧の目が、僅かに鋭くなった。だが声を荒げることはない。

「……焔」
「あたしは待たない。見つけたら、燃やす。それだけさ。あんたの流儀は分かるけどよ、それで何人守れる? 何人、間に合わなかった?」

朧は答えなかった。ただ、焔の言葉の端に滲む何かに、気づいていた。単なる方針の違いではない。この女は、何かを――誰かを、守れなかった過去を持っている。そんな気がした。

「……そなたには、そなたの理由があるのだろう」
「あたしの理由なんざ、聞かなくていいさ」

焔は肩をすくめ、フードを目深に被り直した。

「ただ、覚えときな。いざという時、あたしは待たない。あんたが動かねえなら、あたし一人でも燃やしに行く」

そう言い残し、焔は部屋を出て行った。朧はしばらく、その場に立ち尽くしていた。焔の言葉の裏にある何かを、掴みかけて、しかし掴めぬまま。


次話へ続く。

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