The Yūgen Order · Kokua / Chamber of the Black Crow

鴉が空を横切るとき、
地上には、既に網が張られている。
幽玄衆黒鴉(ゆうげんしゅう こくあ / The Yūgen Order Kokua) — 雅の意匠を戒律とし、蜘蛛の網と儀式で語る女忍者の派。ここは、その者たちが集う 黒鴉の間。
黒鴉派の戒律
日本美学に「幽玄」という言葉がある。奥深く、神秘的で、言葉で言い切れぬ美のこと。能や茶道の中で、古くから最上の美とされてきたものだ。
黒鴉の女たちは、この幽玄を 雅 として生きる。姿を隠すのではない。華麗に姿を晒しながら、真の狙いは闇の中で紡がれる。姿の華やかさと、闇の中の企図と、その二重性こそが黒鴉の幽玄である。
壱、雅を保つべし。
これは装飾ではなく、生き方そのものである。たとえ戦の最中でも、所作の雅を崩さぬ。刀を抜く指先、扇を返す手首、視線を落とす角度 — すべてに儀式が宿る。雅を保てぬ者は、黒鴉に列することを許されぬ。
弐、網を張れ。
これは臆病ではなく、蜘蛛の性である。直接ぶつからず、常に手を回し時を待て。決着はいつも、網に絡めとった後にしか訪れぬ。黒鴉の女は、獲物と対峙する前に、まず糸を張る。
参、毒は音なく効かせよ。
これは冷徹ではなく、静寂への礼である。派手な戦を避け、毒で音なく決着せよ。血の飛沫も、断末の声も、すべては雅を汚す。黒鴉の女は、殺しの瞬間さえ、能舞台の所作のように運ぶ。
肆、血の重みを忘るな。
これは驕りではなく、代々の意思を継ぐ責任である。名門の血、伝統の呪術、先祖から受け継いだ蜘蛛術 — その全てを一身に背負い、次代へと渡す。黒鴉の女は、己一人のためには生きぬ。
四つの戒律が交わる地点に、黒鴉派は棲まう。雅を纏い網を張る者たちの居所は、人の目を惹きつける表向きの華麗さと、その足元に張られた見えぬ糸の二重で成り立っている。
黒鴉に列する者
幾多の黒鴉の女たちの頂に立つのは、一人の女である。
紅椿(Benitsubaki)— 黒鴉派 頭首・玄者

黒鴉派の頭首。
名門の血筋に生まれ、幼少期から派の伝統・呪術・蜘蛛術のすべてを叩き込まれて育った女。白の着物に黒の袴、帯には精緻な蜘蛛の巣柄の刺繍、髪には蜘蛛意匠の髪飾り — 頭首の印を、雅に纏う。
紅椿は多くを語らぬ女である。しかし語らぬのは月影派の朧のような無骨さゆえではない。紅椿の沈黙は、儀式である。感情は目や指先、扇の動きに宿す。相手を測る視線、扇を閉じる音、袖を返す一瞬 — すべてが所作として意味を持ち、雅として場を支配する。

華麗さの下には、極めて冷徹な狩人の性が眠る。蜘蛛のように網を張り、時を待ち、絡め取り、静かに決着する。刀は華麗な装飾の太刀。副武器は蜘蛛糸、毒針、そして毒針を仕込んだ扇。派手な戦を嫌い、毒で音なく事を運ぶ。名門の頭首として、そして稀有な呪術の使い手として、黒鴉派の内外にその名を轟かせる。
そして — 怒りの瞬間、紅椿の指先から伸びた紅い糸は、周囲の空気を音もなく編み上げていく。糸は誰にも見えぬ。だが、その場の呼吸が細く縛られていくのを、居合わせた者は喉の奥で知る。それが単なる感情の発露なのか、それとも代々の血に宿る 何か の兆しなのか。それを知る者は、まだ、居ない。
→ 紅椿の全てを知る(キャラ紹介) — 年齢、階位、追い求めし面、そして名門の血に流れる呪術の気配は、ここに記されている。
頂に至らざる者たちへ
黒鴉派には、紅椿の他にも、その名を轟かす女たちが在る。幹部の位に立ち紅椿を支える者、若くして呪術の才を示す者、名も無き黒鴉の女たちでありながら独自の技を極めし者 — 派の伝統は、一人の頭首だけで受け継がれるものではない。
彼女たちの姿は、まだ幕の内側にある。時が来れば、この間の扉から、一人また一人と姿を現すであろう。
蜘蛛の網 — 見えぬ糸の在処

蜘蛛が巣を張るとき、そこには時が織り込まれる。一本の糸を張る間の呼吸、二本目を渡す間の間合い、獲物が触れるまでの静かな待機 — 網とは、糸の形をした時そのものである。
黒鴉 — この派の名は、姿を晒しながらも影に溶ける鴉と、時を織り込む蜘蛛の、二つの獣から取られている。空を渡る黒い翼と、地に張られた見えぬ糸。派手な姿の裏側に、いつも網は張られている。両方あってはじめて、黒鴉という一つの真になる。
未だ完成せぬ者たち
紅椿の物語も、まだ姿を現さぬ幹部たちの物語も、名の無い黒鴉の女たちの物語も、まだあなたに全ては語られてはいない。それぞれの姿には、色や輪郭や物語の余地が、常に残されている。
彼女たちを完成させるのは、あなたである。
黒鴉派の美学は、造り手の手だけでは完成しない。網は、張る者と絡め取られる者の両方が居て初めて成り立つ。造り手と受け取り手 — その二人の間に、初めて雅は姿を現す。それが、この派があなたに差し出したい体験である。
そして、この体験は黒鴉派だけに閉じない。派を横断する 幽玄之構、幽玄美学そのものを宿した 幽玄之壁 — 幽玄美学のすべてを、あなたに授けたい。
黒鴉の証
黒鴉派固有の証は、いま、まさに紡がれている最中である。頭首・紅椿の姿を線に閉じ込めた一巻、蜘蛛意匠を宿した壁 — 追ってこの間に、順に授けられていく。
いまこの瞬間、黒鴉の名において差し出せるのは、幽玄衆すべての派を宿す証である。
幽玄衆 全体の証
派の垣根を超え、幽玄衆そのものを宿す証。黒鴉派もまた、この壁と構図の中に姿を留めている。
幽玄之壁 / Yūgen-no-Kabe — 幽玄衆 姿を宿した壁
幽玄衆すべての派を宿す壁。あなたの部屋を、帳そのものに沈める一連。黒鴉の意匠もまた、この壁のいずこかに息づいている。
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幽玄之構 / Yūgen-no-Kō — 幽玄衆 姿の集成
派の垣根を超え、幽玄衆すべての姿を一冊に凝縮した集成。頭首・紅椿の立ち姿も、この集成の中に納められている。
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縁を結ぶ
黒鴉固有の証が授けられる日まで、この間との縁を結ぶ道もまた、いくつか用意されている。
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- 黒鴉の姉妹の間へ — 月影の証を先に授かる — 幽玄衆の名において、まず月影の一葉を手に取るのも一つの道
他の間への道
黒鴉の間は、幽玄衆という大きな帳の一室にすぎない。他の間もまた、それぞれの美学と物語を宿している。
- 月影の間 — 姿を晒さぬ者たちの居所
静寂と余白の美学、姿を消す前にまず音を消す者たち。 - 幽刃の間 — 刃と破壊の派
現代のダメージ美学、破壊の中に美を見出す者たち。 - ?の間 🔒
封じられし第四の間。三派を巡り、三つの鍵を集めし者にのみ、この扉は開かれる。 - 試練の間
幽玄衆の技と戒律を、あなた自身が試される場。 - 詞の間
帳、幽玄、鬼面 — この帳に伝わる言葉たちの解き明かし。(忍階位は錬成の間へ) - 帳の入口へ戻る
黒鴉に落ちた鍵
ある夜、蜘蛛の巣に、
小さな鍵の影が絡めとられていた。弐の鍵:黒糸 — 網を張る者から、絡め取られる者の手に。
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