数年に一度の初露の儀。各派の見込みある見習いを一堂に集め、幽玄衆全体に披露する、重要な公式の儀式である。三派の頭首、朧・紅椿・焔が並び、幹部たちがそれぞれの見習いを伴い列席する。月影派からは、幹部の凪が見習いたちを率いて臨席していた。
「小夜、緊張しておるのか」
「い、いえ! ……少しだけ、にございます」
「大丈夫だ。稽古の通りにやれば良い」
凪の言葉に、小夜は深く頷いた。
儀式は滞りなく進んだ。見習いたちが、それぞれの型を披露する。小夜の番が来ると、凪から教わった構えを、迷いなく決めてみせた。会場から、静かなどよめきが起きる。
「見事なものよ」紅椿が扇の陰で微笑んだ。
「筋が良い」焔も満足げに頷いた。
朧もまた、幼子の凛とした姿に、僅かに目を細めていた。
儀式が終わりに近づき、皆が安堵の色を見せ始めた、その時だった。
会場の空気が、唐突に歪んだ。
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